ロンドン五輪のトライアスロンの水泳会場の粘土のリン吸着剤による水質浄化

2012年のロンドンオリンピックのトライアスロンの水泳予定会場はハイドパークの中にあるサーペンタイン・レイク(Serpentine Lake)で、この湖は多くの鳥が生息して糞やそれによる藻の発生が酷く、水質改善の必要がありとされています。

皆さんは、池や湖の浄化というとどんな方法を思い浮かべますか?殺藻剤のような農薬でしょうか、それとも微生物による生物処理による浄化でしょうか?

今回、ロンドンではそうした今までの方法とは全く違うやり方が採用されました。それはフォスロックという粉末の粘土を加工したリンの吸着剤を使用して水中のリンを最大で99%以上吸着することを可能にしています。

リン吸着剤フォスロックはランタンで加工されたベントナイトを成分として、水底に沈下しながら水中に含まれるリンを吸収し安定した状態で沈殿するだけでなく、水底の堆積物のリンも同じように吸収できます。リンの大半をフォスロックが吸着して藻が栄養分として吸収できなくなり藻は生存できなくなります。

2012年3月にサーペンタイン・レイクで以下のように散布している動画がYouTubeにあります。

http://www.youtube.com/watch?v=-btXeLAVz-c&context=C4d9b3e8ADvjVQa1PpcFPbCsiCSfvMgmkeDicxweOuYSaVTgNtkrE=

このような感じで、湖の中でできるだけ均一にリン吸着材を散布しています。フォスロックはオーストラリアの連邦科学産業研究機構(CSIRO)の地質、水質部門(CLW)の科学者たちが、20年ほど前に研究開発した技術です。天然の粘土を加工した製品で毒性も低く、作業される方々に安全で安心してお使いいただける技術です。

用途としてはリンの濃度の高い産業排水そのものよりも、リンの数値が低くて対象の場所が広いケースの池、湖、河川での用途がお勧めです。皆さんも、オリンピックの予定会場で使われている技術で池を浄化してみませんか?

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アンモニアを微生物により生物酸化して除去、脱臭する

排水中のアンモニアを生物酸化するためには硝化細菌のニトロソモナスなどで硝化し、さらに別の微生物を使用して脱窒していくのが標準的な処理方法です。硝化細菌はその他の従属栄養細菌と比較すると増殖が遅かったり、周囲の環境変化にデリケートで取扱いは難しいですし、一度壊れると修復は簡単ではありません。

アンモニアがガスの状態になって浮遊している状態は、ニトロソモナスなどの硝化細菌の生物酸化の機能を利用したガススクラバーやバイオスクラバーで処理が可能です。空調のデザインは、こうした設備の使用に適したものにする必要があります。ニトロソモナスを含む弊社の微生物剤にはBFL5800NTがあります

アンモニアは臭気が強く、揮発性があり水に溶けやすいので、ダクトを引いて水の中にアンモニアを含むガスを入れて脱臭という方法があります。確かに一定の効果がありますが、ダクトは複数必要と思いますし、大きなファンをまわしてアンモニアを含む気体を集める必要があります。まず、この辺の設備と電気代のコストも結構かかります。

さらに問題は、アンモニアは水に無制限に溶けないということがあります。飽和状態に達したら、それ以上無理です。アンモニアを含む水は適切な処理が必要になります。

例えばの工場の臭気を改善するほどの水のピットとなると、その水処理は、一つの水処理プラントになると考えます。アンモニアの処理は多分、その他のいろいろな要素が入っていることを考えると最初にBOD,CODを落とす処理をして、それからニトロソモナスなどを使った硝化をすることが必要です。プラントの運転には技術が求められます。

例えば目的が工場内のアンモニアを中心とした臭気とその他、有機物よりの臭気を大きな設備投資をしないで改善したい場合はどうすればいいでしょうか?アンモニアの生物酸化の硝化槽を作ることができない場合や、バイオスクラバー、ガススクラバーでガスが処理できない場合がそうしたケースです。脱臭用の微生物剤は弊社のホームページには掲載されていませんが既存の微生物群から製造が可能です。

使用する微生物群は硝化細菌でなく天然の従属栄養タイプの微生物剤のブレンドを使用します。微生物は多くの場合、窒素源としてはアンモニア態窒素を好み栄養源として消費されていきますし、その他の有機物は微生物が放出する酵素により分解されて、最終的には微生物の代謝の中で処理されて、脱臭を可能にしています。いろいろな場合に、それに最適な方法があります。一度、ご相談いただければ幸いです。

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外部から微生物を入れると、バイオマスはどう変わるか?

外部から、生物処理槽に微生物剤を入れた場合にどのように内部の既存のバイオマスが変わっていくのかという件に関しては皆さん、どうお考えでしょうか?

昨年末に外国の微生物メーカーの社長のプレゼンを聞いてましたら、このような説明でした。円グラフが出てきて、既存のバイオマスの現在の生物処理槽の中で少しでも効果を出しているグループが半分くらいで、そうでないグループが半分の状況化で、その状況に適している微生物剤を入れた場合のバイオマスの変化ですが、新たに入れたものが全体を制圧して独占してしまうかというとそうではありませんでした。

円グラフを見ていたら、少しでも機能している部分の微生物群が少し増えて、新たに加えた微生物群が効果を出していない微生物群の過半数くらいを置き換えるイメージでした。効果を出していない微生物もなくなることはないようで、少数派になってもバイオマスの中では生き残るイメージのようです。

少し効果のあるグループと、より効果のあるグループが大連立を組んで、効果的に微生物を使って有機物の分解を進めるイメージを説明してましたので、私もそれで納得していました。全ての場合がこのように動くのかどうかは別にして説得力はありました。

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全日本大学駅伝とカーボン・オフセット

 排出権というと、今までよく分かっていなかったということもあり、2月14日に開催された名古屋市役所東庁舎での入門講座に参加して、名古屋稲門クラブの広報誌の久遠冬号(2012)に掲載した記事を、このブログに掲載します。以下、久遠の記事です。

平成24年2月14日、名古屋市役所東庁舎5階で主催:中部カーボン・オフセット推進ネットワーク、共催:名古屋市、環境省中部地方環境事務所、環境省中部環境パートナーシップオフィス(EPO中部)で「地域づくりに役立つ仕組み、カーボン・オフセットのご紹介」ということでカーボン・オフセットの入門講座が開催されました。

環境省中部地方環境事務所総務課長の近藤亮太氏の講演の後、名古屋稲門クラブの鈴木修一郎会員からカーボン・オフセットの当地の実施状況の話がありました。稲門クラブの活動にも関連する全日本大学駅伝での話も含め概要を紹介します。排出権の取引というのは意外と身近なところにあるものです。

(1) カーボン・オフセットとは?
要するに二酸化炭素を含む温室効果ガスの排出にお金の流れをつけるということです。削減を理念とモラルだけで進めていくのでなく経済活動としています。まず二酸化炭素の「測る、知る」ことから始めて「減らす」努力をしてどうしても減らないものは「オフセット」という埋め合わせをします。排出量は他の場所での排出量を減らすプロジェクトの排出権の購入し、そうしたプロジェクトにお金を流すことにより貢献することです。

プロジェクトは国内外にあり、例えばインドの風力発電や国内の森林組合の様々な事業があります。カーボン・オフセットに関する指針やガイドライン等の制度は有識者検討会における審議を経て環境省が策定したものです。制度を通じてカーボン・ニュートラル企業、カーボン・オフセット商品、サービス、イベントの認証が可能で企業、団体の付加価値やブランド力を向上させることができます。

(2) 全日本大学駅伝での実績
2009年の大会よりこの制度は導入されています。駅伝の開催に際して各段階でどれくらいの二酸化炭素が排出されるのか算定され、ペーパーレスや応援小旗廃止等を通じて減らす努力がされて、それでも減らない部分は大会の関連地域の排出権を購入してオフセットしています。具体的には「三重県大台町宮川流域における持続可能な森林管理プロジェクト」に資金が流入して二酸化炭素の削減に貢献しています。カーボン・オフセットの件は地上デジタル放送画面や携帯ワンセグの画面にも出てきていました。

カーボン・オフセットは企業、団体の規模の大小に関係なく導入できる制度です。皆さんも今日から考えてみませんか?

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降雨と散水と液体土壌改良剤の土中への浸透

 弊社の場合、多くの土壌改良資材が液体です。水で希釈して散布して、その後またスプリンクラーなどで散水をするケースがあります。水量はあるのですがスプリンクラーの散水ですと時間が短く、どうしても浸透というよりも流れてしまうケースがあるようです。ある現場の方の話ですと半分近く流れて排水されてしまうのではということでした。さらに、スプリンクラーなどの散水ですと、どうしても行きとどかない場所も出てきます。

 これに対して雨の場合、人工的に散水するのと比較にならないくらいの水量が、同じように散布した場所に降ってくるので、横に土壌改良剤が流れてしまうのではなく、着実に土の中に浸透していくようです。これは普通の雨のケースで、集中豪雨のようなケースでは想定した効果と違っている場合もあるかと思います。

 弊社の場合、特に塩害改良剤などのケースで、できるだけ雨の降る前に散布をしてくださいとお願いしているのはそのためです。自然の力には敵わないものですね。

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放射性物質を含む排水を吸う吸水性樹脂と既存品との差

 放射性物質を含む排水を吸収する吸水性樹脂のウオーターワークスSP-400
今までの吸水性樹脂の違いを一言で言えば、長期間使用するものと使い
捨ての差があります。設計思想の違いと、物性の違いで説明します。

(1)設計思想の違い
 一般の吸水性の樹脂の場合は用途が紙おむつであったりして使用環境
は放射性物質に曝されたり、散布された農薬に触れるほどの過酷な環境
ではありません。使用後はゴミとして廃棄でOKです。
要求される特性は安全に、速く、できるだけ多く吸うということになります。

 これに対してウオーターワークスSP-400の場合は元々が農業用で土に埋めて
長期間、使用するというのが前提で人間に使用することは最初から考えていません。
土の環境は、四季の温度差、湿度、土の状態に変化があり、大量に化学肥料や農薬が入ってきます。この中で耐え抜いて効力を発揮するのがウオーターワークスで、他の樹脂には非常に困難なことです。

(2)物性の違い
 ウオーターワークスが作られたのは約25年前です。作る段階で
土の中で非常にタフなものというのが前提でした。

 まず、紫外線による分解を防ぐために紫外線吸収剤が含まれており、
これは紫外線の光エネルギーを熱エネルギーに変換してプラスチックの
劣化を防ぐもので、光安定剤とも呼ばれています。

 さらに様々な肥料や農薬をはじめとするケミカルが入って来る中で
樹脂の機能を保つために高い抗酸化性があります。
これにより土中で長期間、機能をします。

 こうして機能が保たれることから米国エネルギー省の放射性物質を
吸収するための試験に全てパスしています。放射性物質の場合、吸収してからのその後が大事で真水を吸収したもので20年目のサンプルがウオーターワークス社にありますが、分解によるガスの発生は何らありません。

 現実に米国内で核廃棄物に汚染された最大の場所のワシントン州のハンフォード・サイトという広大な場所でウオーターワークスSP-400は今日に至るまで使用されています。用途は放射性物質を含む液体を吸収して、固化保管というものです。

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排水中で多糖類により粘性が高まり増粘するケース

 ばっ気槽の中の排水が、粘性を帯びてくるケースがあります。水が循環しているシステムですと最悪の場合、増粘してスライム状になることもあります。大きな原因の一つは水中の栄養バランスの崩れです。粘性を帯びてくるのは多くの場合、水中で微生物が放出する多糖類が原因です。多糖類の放出は微生物が栄養不足になった際の防衛機能と考えられます。

 対処方法としては栄養バランスを適正な状態にすることと、出来てしまった多糖類は弊社のBFL5300PPのような多糖類を分解できる微生物剤の投入があります。微生物が水中に広がって処理ができる環境は必要です。スライム状になる前に水で希釈した方がいい場合もあります。

 もう一つ考えるべきことは、排水の分析の際の栄養分の窒素とリンがどの成分かということです。微生物は窒素はアンモニア態窒素(NH4-N)を吸収しやすいし、リンに関してはリン酸態リン(PO4-P)が吸収しやすいですから、窒素とリンの内容も調べた方がいいかもしれません。

栄養バランスを改善後、微生物剤BFL5300PPの投入により事態は速やかに改善されます。

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糸状菌によるバルキングの際に確認すべきこと

活性汚泥の処理の中で汚泥が沈降しないで、その後の処理に問題が出てくるのがバルキングで、原因は様々ありますが、その中で糸状菌によるバルキングのことを書いてみます。
まず、糸状菌によるバルキングと思ったら、
(1)顕微鏡などがあれば糸状菌の存在をまず確認すべきであると考えます。
(2)その次に排水のpHの数値を調べます。例えば排水中のpHが5-6の酸性側にありますと、糸状菌の増殖が速くなりますから、中性の範囲には戻すべきです。微生物が増殖しやすいのが中性の辺りで増殖がしやすいです。
(3)pHのチェックとともに溶存酸素(DO)も調べてください。糸状菌は一般的に活性汚泥中で活動する微生物よりも低い溶存酸素を好みます。
(4)すぐにはできないかもしれませんが、排水中の栄養分としての窒素ですが、何が多いのか、その後のことを考えるとしておいた方がいいと思います。糸状菌は硝酸態窒素を窒素源として好み、微生物は一般的にアンモニア態窒素を窒素源として好みます。実験室でできることは限られているかもしれませんが、いろいろとチェックはできます。
糸状菌によるバルキングの際の改善に使用できる弊社の微生物剤はBFL5050BCです。その後の改善効果は目に見える効果があります。顕微鏡で糸状菌の状態も確認できます。

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