植物用の抗ストレスポリマーのアンチストレスは、温度ストレスだけでなく、強風などの物理的ストレスなど植物が遭遇する様々なストレスに対応した生分解性の高いポリマーで水で希釈してスプレーして用い、使用後45-60日間柔軟性のある皮膜は有効で、その後は自然に分解します。我国では樹木の移植の際によく用いられています。パラフィンと比較すると蓄熱性が低いので葉焼けを起こす可能性は低いです。様々な植物のストレス対策に使用できますが、蒸散抑制剤としての機能もあります。
皆様からの質問でよくあるのが「蒸散の抑制により植物の温度が上昇するのではないか?それにより悪影響は出るのでは?」というがあります。
植物のストレスをコントロールするというのは植物生理学の中でも比較的新しい概念です。確かに理論的には植物の蒸散が抑制されれば植物の体内温度は上昇することになります。しかしアンチストレスで処理した植物と未処理の植物の比較対照試験を行いますと、現実にアンチストレスを使用した側が未処理の側に比べて低いのが現実です。
これは2つの点で説明が可能です。第一には植物がストレス下に置かれると蒸散する場合は必要以上に水分を蒸発させてしまい結果的に萎れてしまう。本来、自然な状態で水分の出入りをコントロールできていた状態が崩れてしまったのがストレス状態と考えられます。アンチストレスは状況に応じて蒸散量をコントロールしてバランスの崩れを防ぎます。ストレス下においては植物が自らを助ける行為で自らを傷つけています。
第二にはストレス下で急速な蒸散が進むと、根、茎、気孔で急速な水分の移動が起きて、それに対して熱が体内で発生してエネルギーを消費することによると考えられます。この熱がアンチストレスを使用したものと未使用のものの温度差に繋がっています。分かりやすい例えで説明しますと、密閉状態の部屋の中で人間がいても安静の状態であればそれほど室温は上がりません。しかし運動を始めれば、室温もそれに伴い上昇をします。
通常の使用でアンチストレスを用いる限り悪い影響は考えられません。