気温の上昇とともに虫の出てくる季節になります。排水処理施設の生物処理槽には溶剤臭があったり、微生物が活動することによる微生物臭のようなものがあります。この臭気に引き寄せられてやってきて排水中に卵を産んでいくタイプの虫がいます。虫が生きていけるまで水質は改善されているということです。
以前に、屋内の実験でお客様の排水の実験を行ったところ、連休の期間中に虫が卵を産んで、休み明けには大変なことになったことがあります。実際のプラントでこれが起きますと大規模だけに収束させるのが大変です。
槽の外を飛んでいる虫は、家庭用の殺虫剤でもかなり有効です。問題は槽の中です、殺菌剤を使うと機能している微生物が作ったバイオマスを壊してしまう可能性があります。弊社のお客様から聞いた方法は幼虫の退治をするために昆虫成長抑制剤の使用です。これは昆虫の変態や脱皮をコントロールしているホルモンバランスを狂わせ脱皮と羽化を阻害します。
昆虫は卵から幼虫になり、幼虫は脱皮を繰り返してやがて蛹になり、羽化します。他の殺虫剤とは作用のメカニズムが異なります。孵化後の幼虫は脱皮を盛んに繰り返すために若い幼虫ほど効果があるようです。微生物の成長のメカニズムにはこうしたところがないので、微生物はダメージを受けないようです。