今年、除染せずに植物の試験栽培をした際に放射性セシウムが植物にあまり吸収されない理由

震災直後には1年で収穫されるタイプの植物は放射性セシウムを吸収してそれは数字にも反映されてました。今年、除染をしない場所で試験栽培をしたケースで思ったほど放射性セシウムが吸収されていないという報告がありました。もう一つ、果樹の場合は、果実の中の数値が昨年同様であったという報告もありました。その理由を考えてみました。

(1)まず考えたことは、放射性セシウムは時間の経過とともに土中の粘土成分などに強く吸着されて遊離せず、植物が吸収しにくくなっているのではないか。これが1年で収穫される植物がセシウムを吸収しにくい説明になります。

(2)果実のケースは1年で収穫される植物と異なり、果樹の場合は根の張り方が違うこと、要するに長く、広く土壌の中に根が伸びて、水分、栄養分を吸収する領域が違うというが考えられます。

(3)もう一つ考えたことは、土壌中で植物と共生する土着の微生物の菌根菌の存在です。菌根菌と植物はお互いに養分などを与えあっています。さらに菌根菌は土中に菌糸を張りめぐらしています。菌類はセシウムとも相性が良いようで、おそらく菌根菌経由でも果実にはセシウムがもたらされたのではないでしょうか。果樹の場合は、長い年月をかけて菌根菌との共生関係ができていたことが想像されます。1年で収穫されるタイプを除染されていない土地に新しく植えた場合は、昨年のものとの違いは菌根菌の菌糸の形成の差でも説明できると思います。

カテゴリー: 土壌改良 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です