弊社は天然の微生物を利用した有機物の難分解性物質の処理(バイオレメディエーション)の技術、商品の販売とコンサルティングを行っています。石油類、界面活性剤、芳香族化合物(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、エチレングリコール、ジオキサン、アセトンなどの溶剤などの分解も可能です。リグニンやスターチやセルロースを分解して沈降性を改善することも可能です。
有害大気汚染物質のVOC(揮発性有機化合物)は健康被害や環境汚染の原因物質になっています。VOCを分解除去するバイオスクラバー、ガススクラバーに最適の微生物剤もあります。微生物の効率を上げるための多くの接触材との相性も弊社の微生物は抜群です。特殊な機能を持つラムノリピッドのようなバイオサーファクタントも取扱っています。各用途での脱窒処理が可能です。弊社の微生物剤は全て天然品で一切の遺伝子操作は加えていません。
微生物を使い有機物を分解する生物処理方法のまとめ
自然界には多種多様な微生物が存在します。
この自然に棲息する微生物の分解能力を用いて汚染物質を分解する環境浄化法が
バイオレメディエーションです。
1なぜ微生物を使う処理が必要なのか?
人間の生活や生産活動に使われた水は汚水や排水として自然環境に排出されます。そのままの排出は川、湖、池、海のような公共の水域を汚染し、自然環境を台無しにするだけでなく水資源や水産資源を消失させます。したがって、排水を環境に放流する前に必ず何らかの処理をして水域を汚染することのない状態にしなければなりません。この処理に微生物が大活躍します。
2微生物を使った有機物を分解する生物処理とは?
微生物は生態系の分解者であり掃除屋です。排水の汚れた有機物は通常、BOD成分として測定されます。BODは有機物が微生物により分解される際に消費される水中の酸素量(生物化学的酸素要求量)のことです。処理は好気性微生物の場合、有機物と酸素を得ることで次々に分解が進み、最終的に細胞内の代謝活動により水と二酸化炭素と硝酸イオン、硫酸イオンなどの酸化された無機物に変換します。その際に微生物が活動するためのエネルギーのATP(アデノシン三リン酸)を得ます。活動のエネルギーを得るために微生物は有機物を分解します。
水処理を外側からみれば水溶化した有機物の汚れが、生物的な酸化を通じて不溶性のバイオマスが沈殿して、規制値をクリアーした、きれいな処理水(上澄みの水)として放流されています。
3生物処理を進める中で大事な要素は?
大事な要素はいろいろとありますが、特に注意すべきものは以下です。
■pH
■温度
■溶存酸素(DO)
■栄養分
があります。微生物の主要な栄養は有機物の炭素を別にして、窒素、リンになります。微量栄養素としてはマグネシウム、カルシウム、鉄、コバルト、亜鉛などがあります。
弊社の微生物剤の場合のそれぞれの要素の一般的な可動な範囲と最適な範囲については以下のようになっています。栄養分は後で述べます。
pH | 最適な範囲 : 6.5~7.5 | 可動な範囲 : 6.0~8.5 |
---|---|---|
温度 | 最適な温度 : 30℃ | 可動な範囲 : 10~45℃ |
溶存酸素(DO) | 最適な範囲 : 2.0~4.0 | 可動な範囲 : 0.5~8.5 |
4微生物に関して
大きさは、1/1000mmくらいで光学顕微鏡で観ることができます。
細胞の分裂は20分に一度のケースもあります。
5栄養バランスについて
主要な栄養素は
■炭素 C
■窒素 N
■リン P
弊社の場合はC:N:P=100:5:1が一般的に最適値になります。
C=BODで計算をします。
主要な栄養素の役割は、
■炭素 : 多くの有機物を構成する大事な要素
■窒素 : アミノ酸、タンパク質、酵素になります
■リン : リン脂質(細胞膜の材料)やDNA,RNAなど核酸の材料になります
微量栄養素としては、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、ナトリウム、塩素、亜鉛、マンガン、モリブデン、セレニウム、コバルト、銅、ニッケルなどがあり、浸透圧の調整をしたり、ビタミンになっています。
6微生物の代謝活動とは
排水処理の中で大事な機能としては、まず水中で凝集体を形成することがあります、凝集は微生物に加えて多様な粒子が含まれています。例えば加えられた無機物、バインダー、微生物が死んだり溶解することにより出てきたものがあります。さらに微生物は酵素の製造工場です。微生物から有機物の溶解を促進するバイオサーファクタントと酵素が放出されます。細胞外の大きな分子量のものも分解しますし、細胞内にも吸収します。
7処理施設を観ていく上で重要な要素は?
施設内で特に注意を払って監視すべき数値としては、まずpHとDOがあります。この2つは特に重要です。さらにMLSS,SV30なども注意が必要です。
8バイオオレメディエーション
バイオレメディエーションは2種あります。栄養剤を加えて土着の微生物の活動に依存するのがバイオスティミュレーションです。目的に合う微生物が土着の環境の中にあればいいのですが、いつもあるとは限りません。これに対して栄養剤と外部から最適な微生物剤を持ちこんで行うのがバイオオーグメンテーションです。
バイオオーグメンテーションの目的はバイオマス(生物資源)を改善して効率的な分解を可能にして確実に汚泥を沈降させることです。その特長は以下です。
■成長が速い
■より効率的な分解が可能
■より優れた凝集効果があります
■ショックに強い
■過剰な起泡を防止できます
9微生物を使った処理のメリットは?
■高い効率性
■より優れた沈降性
■特定の目的に合わせた処理が可能
■簡単に用いることができます
■既に技術的に確立しています
■コスト削減に貢献が可能(その場で処理が可能)
■微生物を使用することについて新たな設備投資は不要
■放流水の水質が改善されます
■安全性が施設と作業者の双方に高い
■処理方法の選択に柔軟性を与えます
■他の方法では利用が不可能な場所でも使用ができ、さらに他の方法との併用が可能で、
■より高いレベルの修復や無毒化が可能になります。
10微生物を使った処理のディメリットは?
■即効性に欠けます
■実行にあたりシステム全体の理解が必要
■作業者の技量に依存する部分があります
■汚泥の量が増えます
■立ち上がりのコストがかかることがあります
■ケミカルを使用した前処理が必要になることがあります
11分解が可能な物質は?
■炭化水素化合物(原油、ガソリン、重油、エンジンオイルなど)
■芳香族化合物(ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンなど)
■多核芳香族炭化水素(ナフタレン、ピレンなど)
■アルコール(イソプロピルアルコール、エチルアルコール、エチレングリコールなど)
■炭水化物(デンプン、スターチ、セルロース、ヘミセルロース、ブドウ糖など)
■各種界面活性剤(洗剤)
■溶剤(ジオキサン、アセトン、アクリロニトリルなど)