弊社は園芸用や造園緑化用に海藻抽出物の輸入をしてきました。素晴らしい効果を実感してきました。様々な原産地と海藻抽出物のメーカーがありますが、その中で最も魅力を感じたのがアイルランド産のアスコファイラム・ノドサム(Ascophyllum nodosum)とラミナランに属するものでした。このページではアイルランド産の海藻抽出物の植物用を中心に説明をしていきます。今までに取組んできたのが野菜や果樹の農業用とグリーンを中心にしたゴルフ場用です。
アイルランドでは古くから海藻は沿岸部で土壌改良用に使用されてきました。輸送能力の問題もあり地域限定型の使用が多かったようす。1950年代に入り、アスコファイラム・ノドサム抽出物は植物の成長促進と品位の向上に役に立つということで園芸分野で注目を集め始めました。さらにアイルランド、スコットランドでアルギン酸抽出物の原料として、また海藻ミール、肥料、ボディケア品、液状海藻抽出物の製造に使われています。海藻は海中にあって多くの栄養分を貯蔵して植物や動物の栄養分の倉庫として機能しています。
具体的にアスコファイラム・ノドサムはどのような成分を含んでいるでしょうか?
タンパク質 | 5.7% |
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脂肪 | 2.6% |
繊維(セルロース) | 7.0% |
炭水化物 | 58.6% |
水分 | 10.7% |
無機物 | 15.4% |
総合計 | 100.0% |
マンニトール | 4.2% |
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アルギン酸 | 26.7% |
メチルペントサン | 7.0% |
ラミナラン | 9.3% |
その他糖類 | 14.4% |
1主要栄養素に関して
■主要な栄養素とは植物が大量に必要とするものです。
■6種の主要な栄養素として窒素、リン、カリウム、イオウ、マグネシウム、カルシウムがあります。
■アスコファイラム・ノドサム由来の主要栄養素だけでは十分ではありません。
■他の栄養源を入れた方がいいです。
■アスコファイラム・ノドサム抽出物は主要栄養素を取込み、代謝活動に使うことを促進します
2微量栄養素に関して
■アスコファイラム・ノドサムは多くの微量栄養素を含みます。
■典型的なものとして銅、鉄、亜鉛、ホウ素、マンガン、モリブデンがあります。
■含有量は天然物ですから多少のばらつきがあります。
■土壌微生物にとっても必要な要素です。
■酵素が生体触媒として反応を開始するための起爆剤的な役割を酵素と一緒になって果たします。
■土壌のpHの数値は微量栄養素が不足になるかどうかを決める重要な要因です。
■植物が急速な成長をする際には最も求められる成分です。
3炭水化物に関して
アスコファイラム・ノドサム抽出物の多くの成分が、この分類になります。海藻中にそのままの形で存在するものもあれば、抽出の過程で変化して出てくるものもあります。抽出はそれぞれの要素が最適な状態で出てくるようにしています。代表的なものをみてみましょう。
■ラミナラン
多糖類の一つで植物が菌類の攻撃から最初に立ち上がる防衛機能のファイトアレキシン(※)の効果を促進することにより抗菌性を植物に持たせます。
■マンニトール
糖アルコールで天然のキレート剤として働きます。
■アルギン酸オリゴ糖
加水分解の過程で低分子量の糖類の中に出てきて土壌改良とファイトアレキシンの促進剤となります。
※ファイトアレキシン
植物の病原菌に対する防衛機構の中で、感染した後新たに植物体内で生合成される防御物質をファイトアレキシンという。その種類にはフラボノイド、テルぺノイド(特にセキステルペン)、脂肪酸誘導体などがあり、大部分は脂溶性である。先駆的な化合物としてマメ科、エンドウに含まれるフラボノイドの一種でプテロカルパン誘導体のピサチンがあり、病原菌が感染すると、菌側の細胞表面に存在する糖タンパク質が植物体内のピサチン合成酵素を誘導する。なお、このようにファイトアレキシンを誘導する菌側の物質はエリシターと総称されている。(社団法人 日本薬学会 薬学用語解説より)
4植物ホルモンに関して
植物ホルモンとして次の4種を含みます。
■オーキシン
■サイトカイニン
■ベタイン
■ジベレリン
■オーキシン | ・細胞を伸長させる ・根の形成を促進する ・果実の結実を促進する |
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■サイトカイニン | ・クロロフィル(葉緑素)の生産を促進する ・老化を遅らせる ・細胞の分裂を促進する |
■ジベレリン | ・細胞を伸長させる ・つぼみの休眠状態を終わらせる ・発芽を促進する |
■ベタイン | ・浸透圧のストレス、干ばつ、霜、高い塩分濃度から植物を守る ・細胞内に水分を蓄積させる ・細胞の分裂を促進する |
■アスコファイラム・ノドサム抽出物のサイトカイニン/オーキシン比は水平方向への蕾の成長を促進します。
■植物の繁茂を促進して果実の生産性を上げます。
■植物ホルモンは植物の代謝活動に変化を与えます。
■アスコファイラム・ノドサム抽出物の使用により質量ともに向上します。
■果実の保存可能な期間が長くなるのはサイトカイニンの量によります。
■サイトカイニンはタンパク質の合成を続けることにより老化を遅らせるように働きます。
■抽出物により根の成長が促進され、栄養分の吸収が進みバイオケミカルや
酵素の働きが最適な状態になります。
5アミノ酸に関して
自然界にはアミノ酸は20種ほどあります。炭素、水素、酸素、窒素、イオウなどにより構成されます。L-アミノ酸だけが代謝活動に影響を与えます。
アミノ酸の機能とは何か?
■タンパク質、酵素、ホルモンの原料になります。
■植物が栄養分を吸収しやすいようにキレート剤として働きます。
例えば、L-グリシンやL-グルタミン酸はこの機能を持ちます。
■植物の質と量の双方を向上させます。
■土壌微生物を活発化させます。
■葉緑素の量を増加させます。
■L-メチオニンはエチレンの原料になります。
■L-トリプトファンはオーキシンの原料になります。
■L-アルギニンは結実や開花のホルモンの生産を促進します。
■L-ヒスチジンは果実の成熟を促進します。
■水不足、病虫害への耐性を強化します。
■葉面よりの吸収が可能です。
■気孔よりの吸収は温度により左右されます。
このように奥の深い海藻抽出物の開発は、さらに家畜用の飼料、人間用のサプリメントの研究開発も進めています。ご期待ください。