1バイオサーファクタントの種類
バイオサーファクタントは基本的に次の4つの種類に分かれます。
■グリコリピッド(糖脂質)の バイオサーファクタント | ・ラムノリピッド ・トレハロリピッド ・ソホロリピッド ・セロビオピッド |
(ラムノース+脂質) (トレハロース+脂質) (ソホロース+脂質) (セロビオース+脂質) |
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■リポペプチドの バイオサーファクタント |
・ビスコシン ・サーファクチン | |
■脂肪酸・中性脂質・リン脂質 によるバイオサーファクタント |
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■高分子型の バイオサーファクタント |
・エマルザン |
2バイオサーファクタントの種類
通常、バイオサーファクタントを生産する場合は単一の微生物あるいは酵母から発酵で生産して、発酵の際の液体培養基より回収します。再生可能な資源を使っての生産となります。
3ラムノリピッドについて
生産はシュードモナス属(Pseudomonas aeruginosa)を使って行います。安定した商業生産がされています。BFLバイオサーファクタントの場合は2種のラムノリピッドのブレンド剤になっています。ラムノースが1つのもの(R1)とラムノースが2つのもの(R2)です。(R1)と(R2)は1:2の比率で混合しています。
4ラムノリピッドの製造過程
ラムノリピッドは次の過程を経て製造されています。
5ラムノリピッドの特徴
■プラスに荷電している水中の金属イオン(放射性物質を含む)と結合し分離可能
■界面活性剤として極めて効率が良い
■極めて毒性が低い
■高い生分解性がある
■非常に高い乳化性がある
■環境中に不完全な形で分解物を残さない
■再生可能な資源を使用して製造が可能
6ラムノリピッドの用途(研究中も含めて)
■放射性物質に結合して分離、浄化
■重金属汚染土壌の浄化
■原油タンクの洗浄
■油汚染からの回復
■工業用の洗浄剤として
■農業用の抗菌剤として
■バイオレメディエーション
7ラムノリピッドの用途(研究中も含めて)
土中と水中でプラスに荷電している様々な金属と結合します。例えば鉛、銅、アルミニウム、ニッケル、カドミウムなどです。土中であれば結合したバイオサーファクタントは土中を極めて容易に移動できるようになります。結合した重金属は水とともに土中から移動して除去ができます。水中にある金属類の場合はエアレーション(ばっ気)を行うと泡が形成されて水面に上がります。泡の中に金属成分は濃縮されていきます。その泡をかきとっていき別の容器に移していけば多くの金属成分は分離除去できます。
■BFLバイオサーファクタントが金属と結合して土中を移動するイメージ
土中で、バイオサーファクタントが金属イオンを捕える想像図が右記です。Mと書かれているのが、金属イオンです。
ラムノリピッドは金属イオンと結合する性質があります。図のラムノリピッドの塊の大きさは5ナノメートルくらいで、
土の中を容易に移動ができます。このようにラムノリピッドは金属イオンを捉えて土中を移動します。土中から金属イオンを分離したり、移動させることにより除染が可能になります。1ナノメートルは10億分の1メートルです。
Source :
Raina Maier University of Arizona
8ラムノリピッドの用途(研究中も含めて)
今までの土中の重金属の処理方法というと3つほどあります。第一に金属成分を酸化するために酸を使用して土壌を処理する方法です。どこでも使えるという方法ではありません。弱い酸を使って放射性物質を取り出して、その次の段階で除去処理という方法の場合も同様です。第二に対象となる土を削って、どこか処分場に持っていくという方法があります。最後に金属キレート剤としてのEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を使う方法で、確かにEDTAは金属成分と結合する性質があります。問題は、EDTAの生分解性とEDTAの毒性になるかと考えます。こうした点からもラムノリピッドを使用するメリットは大いにあります。
9ラムノリピッドの用途(研究中も含めて)
ある大学でラムノリピッドに農薬のような効果があることが分かり研究が進行中です。非常に破壊的な遊走子に効果があると言われています。
以下、研究中です。
■べと病
多くの作物に甚大な被害をもたらします。
■Pythium属菌とPhytophthora属菌
根と葉と果実に被害を与えます。
Phytophthora属はジャガイモに胴枯れ病の被害を与えます。